填まっていること。:珈琲を淹れる

填まっていること。:珈琲を淹れる


すでに日課になっていて、それが特別にやっていることだと認識することもなくなってしまった、豆から挽いて淹れる一杯の珈琲を朝飲むこと。かれこれこの日課を続けて2年以上経つ。

切っ掛けはなんだったか、昔から珈琲が好きで、カフェイン中毒で、自分で淹れたりもしていたんだけれども…。挽いてある豆を買ってきて、飲みたいときにペーパーで淹れるというまでで、自分で豆を挽くというようなことはしなかった。

何が切っ掛けだったか、ふと美味しい珈琲が飲みたくなって、通販で豆でも買おうと言うことで、試したのが、「きゃろっと」という北海道、恵庭の珈琲屋さんのお試しパックだった。価格も安く、二種類の豆を飲み比べることが出来る。あわせて安い手動のコーヒーミルを買った。

銅製の軽量スプーン一杯、ゴリゴリと豆を挽く。立ち上る香り。手順にそってペーパーをセットし、豆を湯に浸してゆく。琥珀色の液体が美味しそうな湯気を立てる。

焙煎された豆のまま購入し、自分で豆を挽いて淹れる、そのプロセスを初めて経験して、その美味しさと淹れることの楽しさ、奥の深さを知ることが出来た。初めのうちは、毎日飲むわけでもなくて、気が向いたら通販とか近くのお茶やさんで豆を買うというようなことを続けていたのだが、「きゃろっと」の「くるべさ」というおまかせの定期購入サービスを利用し始めて、朝の珈琲が日課になった。

くるべさ(北海道弁でくるよって意味からきているのだと思う)は、通常220gの豆を最大5袋までまとめて、毎月決まった曜日に送ってくれるシステムだ。一袋毎買うよりも一割増量されて送料は無料になる。
うちの場合は三袋、毎月第2木曜日に届けられることになっている。届く豆は自分で選ぶことも出来るが、今はすべてお任せにしている。毎月違うタイプの二種類の産地の違う豆と毎月変わる「きゃろっと」オリジナルのブレンド一袋の計三袋。

中南米、アフリカ、メキシコ…世界各地の産地の違う豆が毎月我が家に届く。2012年の夏から、すでに二年以上続いたので、すでに数十種類の豆を挽き、飲んだことになる。

初めは、月ごとに配布される豆のテイストが書いてあるパンフレットの表現に、カシスのようなとかオレンジの香りがとかチョコレートのような甘さとか書いてあって、いったい何のことか実感できなかったんだけど、飲み比べるうちに徐々にその感覚がわかってきた。 確かにカシスのような香りのする珈琲は存在するし、チョコレートのような甘さを感じるものもある。こういうのがわかってくるとホント楽しくなってくる。

絶対的な美味しいとか不味いとかではなくて、様々なコーヒーの個性を楽しむ。運良く好みの味に出会ったら、それを再現できるように、淹れ方とかも様々工夫をするようになる。新しい器具を仕入れ、新しいドリップ方法を試す。

ペーパーフィルターから始まったドリップは、水の落とし方とか淹れ方の工夫、洗うのが面倒になったのと珈琲オイルがちゃんと抽出できて美味しさが増すと言われる金属フィルターを用いる方法に少しして変わった。毎朝、時間のない中で少しでも短時間で豆を挽きたいと思って電動ミルに変えてみたが、静電気で掃除がとても面倒で、結局、手動に戻したり…、抽出のお湯の温度を測るための温度計を用意したり、お湯の落としどころを確実にするためにペリカン口のコーヒーポットを揃えたり…。

様々試してみたが、いまのいちおしは、誰が淹れても同じ味で、しかもペーパーで淹れるよりも珈琲そのものの味を引き出すと言われ、サードウェーブ系のカフェでも導入が進んでいるという[エアロプレス](http://aerobie.com/Products/aeropress.htm)というコーヒー抽出機で淹れるのが最近のお気に入り。あの円盤を投げるフリスビーを作った会社が開発した、コーヒー抽出装置。注射器のようにコーヒーに圧力をかけて抽出する。通常の紙フィルタで濾すよりも若干粉っぽくなるけどコーヒーオイルがなくならない金属フィルタの方が味は深くなる。(ここは好みが分かれるところ)  

最近では、ハリオの電子スケールとタイマーが一緒になったコーヒースケールを手に入れて、湯量や抽出時間を変えていろいろ好みの味を探っている。あと、先日行ったVaultCoffeeという喫茶店のマスターから教わったCleverDripperという器具に挑戦中。コーヒーを一定時間お湯に浸した後に一気に抽出する方法。エアロプレスよりも後処理(片付け)が楽で一定の味で抽出できる。それぞれのDrip方式の違いで味が変わったり、その日の気分でいろんな淹れ方で飲むのも面白い。

これが飽きっぽい自分が、いま一番はまって続けていること。毎朝の楽しみ。