コロナの時代の僕ら を読む
期間限定で全文公開されていた著者の後書きを読んで、これは読まねばと思った一冊。(現在もあとがきは公開中)この後書きにこそ著者の危機感が強く表れていて、熱い思いが伝わってくる。ここだけでも読んで欲しいと思う。
パオロ・ジョルダーノ
飯田亮介訳
4月24日発売の新刊。イタリアの作家の短い27のエッセイ。
期間限定で全文公開されていた著者の後書きを読んで、これは読まねばと思った一冊。(現在もあとがきは公開中)
この後書きにこそ著者の危機感が強く表れていて、熱い思いが伝わってくる。ここだけでも読んで欲しいと思う。
27のエッセイは、日本の状況だと3月上旬にあたるだろうか、イタリアの2月の後半から3月の上旬くらいまで、まだ全体に余裕があった時期に、集中的に書かれたもので、最後のあとがきはイタリアがまさに危機的な状況に入りつつあった時期に書かれたものだそうだ。
前半のユーモアも混じる日々のエッセイと、危機感がにじみ出るあとがき、その筆致の違いが状況の変化を感じさせる。
そしてなにより響くのは、作者があとがきで熱く繰り返し述べる言葉。「僕は忘れたくない」。
僕らがこれから続くコロナの時代に生きていく中で、忘れてはいけないことは何かを確認するために、想像力をもって…。まさに、いま読むべき書物だと思った。なによりこなれた翻訳で読みやすい。
あとがきの最後。
「家にいよう。そうすることが必要な限り、ずっと、家にいよう。患者を助けよう。死者を悼み、弔おう。でも、今のうちから、あとのことを想像しておこう。「まさかの事態」に、もう二度と、不意を突かれないために。