急に具合が悪くなる
哲学者と人類学者の20通に渡る往復書簡。
BUZZFEEDの磯野真穂さんのインタビュー記事「「問われているのは『命と経済』ではなく、『命と命』の問題」 医療人類学者が疑問を投げかける新型コロナ対策」を読んだことがきっかけで、出会った、哲学者と人類学者の20通に渡る往復書簡。
哲学者、宮野真生子さんはこの書籍が出た二ヶ月前に亡くなっている。
8年間がんを患い、すでに治る見込みのない段階と言われていた宮野さんが、「急に具合が悪くなる」状況の中で、同世代で医療人類学を探求する磯野さんと、病について、生きること、死ぬことについて、熱く、エキサイティングで、深く心に残る、魂の対話が繰り広げられる。
僕らの周りには今、様々な新型コロナにまつわる言説が溢れていて、僕らはそれに翻弄されている、そんな今でこそ、彼女たちの対話に耳を傾けることで、お仕着せの「新しい日常」の中、真に新しい生きる糧を見つけられそうな気がした。
宮野さんが書かれた、「はじめに」の最後の言葉。
「最後に皆さんに見える風景が、その先の始まりに充ちた世界の広がりになっていることを祈っています。」
僕の眼前の風景も少し広がったようだ。
僕の今年いちばんの本かも。おすすめ